博物誌 - 魚介類
ハゼ(鯊):
スズキ目 ハゼ亜目 ハゼ科
Goby (英)
今上天皇が御研究されているやんごとなき魚。
魚鑑によれば「甘温 毒なし 中を和し、脾胃を調へ、気を益す」とやんごとなき
魚にふさわしい効能が記されているが、「多く食へば、瘡疥(ヒゼン)を発す」と
嫌な一面も垣間見える。
遊泳力が低いため、湾が変われば模様が違うといわれるほど変異があり、分類
学者の頭痛の種でもある。
ずらりとグラデーション状に並んだハゼの変異種を前に分類学者たちはどこで
種の線引きをするかをめぐって日々激論を戦わせているが、このような論争を
ドーキンスは「神学論争」と呼んだ。
一方のハゼはそんなことはおかまいなしに今日も分類を撹乱すべく、貨物船の
バラストなどにまぎれて更なる分散と生息域の獲得に励んでいる。